栽培について
栽培技術
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1.土作り・圃場準備
深耕と有機物の混和を心がけましょう。 サトウキビは深根作物で、根の伸長、発達は生育収量に大きく影響します。そのため、表土の厚さは25~30cm以上が好ましく、耕起の深さは30cm以上が望まれます。下層に緻密(ちみつ)な土層あるいは硬盤がある場合は60cm程度の深耕や心土破砕を行いましょう。 -
2.優良苗の植え付けと基肥の実施、株出し管理の早期実施
適正な畦幅・株間に良質苗を多めに植えましょう。 植え付けの際に、畦幅が狭すぎると十分な培土が困難になり、倒伏しやすくなり、枯死茎が増えてしまいます。徳之島では畝幅120cm、株間25-30cmを基準にするとよいでしょう収穫後は早めの株出し管理を行いましょう。 収穫後、株上に枯葉や梢頭部が長時間放置されると、太陽光が遮断されて萌芽不良や欠株の原因になりますので、早めに取り除きましょう。 -
3.雑草対策・病害虫対策
雑草対策・病害虫対策も効果的に行いましょう。 サトウキビは地温20℃以上※という条件下で、水分があると出芽します。多収にはどれだけ多く苗立ちするかが重要ですので、出芽した苗が雑草に覆われて枯死することのないように注意しましょう。 また、病害虫対策としては年に1回程度、カンシャコバネナガカメムシ(チンチバック、沖縄ではガイダー)に対して薬剤をまくようにします。ハリガネムシやメイチュウの被害の多い圃場の場合には、植え付けの時に土壌処理剤を使いましょう。 -
4.施肥・中耕・培土作業
状況を見極めながら丁寧に作業しましょう。 施肥は、量とタイミング(作型・品種によって異なる)が大切です。追肥の時期が遅れたり、追肥の量が多くなると糖分上昇が遅れる原因になりますので注意しましょう。 中耕・培土は、地中の節数を増やし、根の発生・伸長を促進することによって養水分の吸収を盛んにし、同時に倒伏を防止するための作業です。無効分げつを抑えたり、雑草の発生を抑制する効果もあります。 中耕は雑草の発生を見て随時、株元の雑草が小さいうちに行いましょう。新植の場合、植え付けてから60日の間に2回が目安です。また、平均培土は仮茎長が30cm程度の時に、高培土は50~70cm程度の時に行いましょう。 -
5.すべてにおいて適期作業
適期作業で自然の力を活かしましょう。 サトウキビ栽培は、自然の力を上手に活用することが多収につながります。梅雨や太陽の光を有効に活かすためにも、土壌づくり、植え付けに始まる一連の作業はすべてにおいて適期作業が望まれます。 他の作物を手掛けられている農家の皆様は特に、作業の兼ね合いを調整して適期作業に努め、高糖・多収を目指しましょう。
メリクローン苗について
メリクローン苗 メリクローン(mericlone)
農業において、生産性向上を図る上で最も重要な要素の一つが優良種苗の確保です。 サトウキビ農業においては、種苗増殖は従来から栄養繁殖に頼ってきましたが、近年メリクローン培養による優良種苗の大量増殖が可能になり、種苗供給における技術革新が図られるようになりました。 栄養繁殖による種苗増殖は、一旦ウィルスに感染すると除去することができず、萎縮病など生育の悪化による収量低下や品質の低下を引き起こします。しかし茎の先端の細胞分裂が盛んな生長点はウィルスがいないので、この部分を切り出して植物体を作り出すことにより無病の苗(ウィルスフリー苗)が大量に増殖できます。この方法がメリクローン培養です。 メリクローン苗から採取される二芽苗は、細茎ですが無病で発芽能力が高く、従来の蔗苗と比べると20%程度の増収が期待出来ます。 また、メリクローン苗は分けつが優れており、1本の苗から無病の二芽苗(蔗苗)が20~40本採取できます。150本のメリクローン苗を植え付けると約10a植え付け分の蔗苗が得られます。メリクローン苗の特徴を活用することで、健全な蔗苗の確保や品種の更新が速くできるようになりました。